市役所に戸籍謄本を取りに行ってきた春江の安堵感はなかった。春江は喜んでパスポートの申請に行くことになる。もちろん、運転手は俺である。
車の中で鼻歌を歌いながら笑顔の春江を見ていると喜ばしくなった。パスポートセンターで「有効期限がありますけどいいですか?」と聞かれてはい「ハイ」と返事をする。
あっけなく申請は終わり昼ご飯はまたもや中華となる。お粥に揚げパンと鳥の唐揚げ!コーンスープ!
はっきり言うが食べ過ぎだ。いつもなら、「多いよ」という春江が全部食べた。「お腹が爆発する」と言い出したのは、店を出てからだ。
赤煉瓦倉庫まで歩き、買い物して帰ることにした。
帰りの車の中で、韓国と香港の会社とのやりとりをしていた。メールの確認と返信を始めたのだ。急に無口になり、バックからiPadを取り出しバシバシとメールの返信をしている。全て英語である。
見てみれば、誰にも理解できる英語で書いてある。そんなこんなしているうちに、家に着いた。車を止めると香織が買い物をしてきた帰りだった。
「お姉ちゃん!相談がある」
というので香織の部屋に行く。なぜか俺は義理母と料理を作ることになり手伝う。どこかでもらったらしい大きな鯛があった。
「なにこれ?」「マスターにもらったのよ」と言う。カフェのマスターが釣りをしてきたらしい。大きな鯛だよ。「お祝いだと」
誰が話したの?義理母だな!
ペットボトルのキャップで鱗を取る。面倒なので部屋に帰り鱗落としを持ってきた。すでに血抜きはされている。三昧におろして、骨で出汁をとる。タイの頭は半分に割り、塩で焼く。
骨から出汁は強烈に出るのだ。それでスープを作る。お澄ましではなくスープだよ。クリーム入れる前に酒と塩を、入れて火を入れる。これだけで美味い。そこにクリーム入れて完成!
鯛は刺身にする。血合い骨を取り除き完璧だ。鱗を集めて塩で洗い水気をとる。油で揚げてせんべいにする。
サラダはモリモリと作る。ドレッシングはフレンチにする。ご飯の相棒は、鯵の刺身を作りました。鯵のたたきは味噌を入れてなめろうにして、味噌汁はなし。
「できたよ」と言うと姉妹は真剣に激論をしていた。
「ほら、ご飯よ」全部まさくんが作りましたよ。料理のできる旦那さんは最高ね」と言われる。春江は後にしようよと食事の準備をする。香織は機嫌が悪い。
「はい、スープから」
香織は無言でスープを飲んだ。スープを睨みつけて「美味い」と笑顔になった。このスープにパスタ入れたいと言い出すから、パスタを茹でる。香織のスープの味を濃くした。すると「なんなの、この美味さは」とつけ麺のごとく食べ始める。
春江もつけ麺にしたら美味いと食べる。
鯛のお頭を分解してパスタに絡めてスープをかける。大盛りパスタ大会だよ!
鯛の刺身、鯵の刺身でおいらとお母さんはご飯を食べる。鯛の締まり具合は最高だった。鯵のなめろうも素晴らしい。
久保田の千寿が一升空いた。恐ろしい姉妹だ。酒を飲み終わり酔うことなく、「お腹すいた」と言い出す。鯵のなめろうを作り、ご飯食べさせて終わり。
「なんか、新婚に見えないけど」
「新婚ですよ」
「2回目のね」
「一回でいいから嫁に行け」
また始まったよ。
春江を連れて部屋に戻り、風呂に入り寝る。
「明日の朝は20キロにする」
ありえない。
「今日のカロリーで明日は楽に走れるよ」
と言って爆睡モードになる。
俺がきつくなるのだよ。走ってやるか。
食べても、酒を飲んでも太らない体質ってなんだろうな?
via PressSync
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