香織は何と俺の同期と飲む約束だぅたらしい。ところが、仕事が終わらないとメールが来て待っているのも嫌だから「またね」と返信して俺に連絡してきた。
本当は新橋の鳥料理で有名な店に行く予定だった。
「キャンセルしておいて」とメールして俺に連絡してきたわけだ。
銀座に向かい歩き出した。
「何たべたい?」
「お鮨」
と言うから、行きつけの鮨屋に電話したら「ちょーど空いてるよ」と返事が来ていった。
銀座の鮨 わたなべ
この店は、知る人ぞ知る名店だ。
何と言ってもすべてお任せだ。
酒込みで一人15000円!
想定されたことだ。
あの机の汚さは、ダメだな。
そう思っていたところに、ビールが来た。
カウンターだけの小さな鮨屋。
香織は店のインテリアに魅了されていた。
出てきたツマミに感激していた。
コハダ!
これこそ技の差が出る魚はない。
香織はワサビを乗せて食べると、「美味しい」と笑顔になった。笑いが止まらないみたいだ。
「お兄さん、お鮨大好きなんです」
と言ってパクパク食べる。
日本酒も上品に飲み、気がつけば4合は超えていた。
姉妹そろって酒は強い。
水を飲み始めたのは、4合飲み干した後だった。
お腹いっぱいになり、おいらの部屋に帰ることになった。
「あのお鮨屋さん、また行きたい」と上機嫌である。
タクシーに乗り築地まで帰る。たったの4分の乗車でついた。
香織はマンションを見るなり「なばそうね」と言い出した?
「何がやばいの?」
「住人は銀座の女が多いかな?」
笑いながら部屋に行き窓を開けた。
ソファに座り足を投げ出す香織に、お茶を出したら「お酒飲みせん?」と言い出す。冷蔵庫にある日本酒を出した。
森泉
宮城県岩出山にある小さな酒蔵の酒だ。
「はじめてかも」
「そう言って飲み始めたら「美味しい」と騒ぎ出す。
ツマミは味噌大根である。
香織は俺のことを話し出した。
「お姉さんね、マサくんをバイトに来た時から狙っていたのよ。ラインで『イケてる男がいる』と大騒ぎしてたから、温泉に誘い出せばと言っておいたのよ」
「え?初耳」
「そんなに好きならお持ち帰りして」と言ったのだと!
やばくない。
「まあ、お姉さまの身体見たらフルボッキよねー」
「たしかに」
「で、同棲するときもちょー喜んでたし、結婚して子供ができたときもちょー喜んでた。普通にママになりたいとね」
「俺も早々とパパだけど」
「早い方が良くない?子供が社会人になっても若いでしょ。姉はその頃どーかしらね。でも、体型は維持するだろうな。ストイックに運動するからね」
香織は姉との過去のやりとりを教えてくれた。子供が産めないと思い込んでいたらしい。
「で、まーくんの同期だけど、アウトね」
「やっぱり」
「仕事できないね。それか訓練されてないかだな」
「俺はされたからな」
「お姉さまは鬼になってでも、高速ブラインドタッチを取得させると言ってた。やらされたでしょ!」
「毎日、1時間」
「ね!それと論理学習ったでしょ。あの人ね法学部的な発想がないのよ!数学なのよ!シャーロックホームズのシンパだから」
「確かに、推理は鋭い」
「で、まーくんは同期をどう思いますか?」
「今日もバタバタしていたよ。まだ新人だからじゃないの?」
「いや、無理だね。いくらやっても無理かも!頭が訓練されていない人は無理。何やらせても、遅い。早い人は何が違うか?簡単よ!何から始めて、どう整理して、とこからやり始めるのか考え、最初からゴールを見ている。彼は雑談でもゴールがなかった」
ゴールな!よく上に変更されるけどな!修正力も大事な!
「今頃泣きそうになってるわよ。そして、明日の朝は、雷が落ちるのよ」
なるほど!そうだろうな。
「あの子ね。家の力でここまできたでしょ。自分で勝ち取った経験がないのよ」
「トレーニングすれば?」
「疲れるやつ嫌い。私は癒しが欲しい」
そうだよね。
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